「節約」と名のつく参考書や情報誌は星の数ほどあれども、小説として読む「節約」って他になかなかないんですよね。
リアルな節約術的な本って、
- 食費は〇〇円で抑えましょう!
- 固定費をまず下げないと!
- 袋分け予算管理があああああ!!!
って感じでとても具体的で、数字的に参考にする方も多いと思うんですが…
「いやこれあなたの生活とうちの生活違いますから!!」みたいな、ある意味ガチャ要素が強くて(実家からお米もらってます♪週末は親に子供見てもらってます♪みたいな)参考にならないものが多いのなんのって。
そういうのよりも、もっとリアルな心情とか新庄とか信条とかを見たいんですよ。お金がなくて落ち込んだり、節約してる自分を惨めに感じたりとか、そういうのあるじゃないですか!
そんな中この本を知人に紹介してもらいまして。図書館で予約して(人気なのか借りるまでまあまあかかりました)無事、この度読了したのでご紹介します。
▼原田ひ香『三千円の使いかた』
結論から申しますと控えめに言って、節約を志した者にとってこの本は「必読書」と言えます。全員読むべき。
基本的に女性目線のストーリーですが、男性もパートナーや家族として考えさせられる内容になっていますぞ。将来に不安を感じる殿方も読むべき。べきです。
原田ひ香「三千円の使いかた」

垣谷美雨さん 絶賛! 「この本は死ぬまで本棚の片隅に置いておき、自分を見失うたびに再び手に取る。そういった価値のある本です」 就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか? 知識が深まり、絶対「元」もとれちゃう「節約」家族小説!引用元:三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1) | 原田 ひ香 |本 | 通販 | Amazon
この帯の内容が全てと言っても過言ではない。
人生においてお金で悩むことって度々起こることでありまして、小さいものから大きいものまでライフステージによってまあ色々とぶつかります。
- 独身時代には友達との飲み会や旅行など
- 結婚式の費用や同棲による引越し資金、敷金や礼金など
- 結婚すれば日々の生活費の捻出、将来に向けての貯蓄
- 子供ができれば出産や育児に
- 子供が大きくなれば養育費や車の購入やマイホーム購入など
- 親の介護や亡くなれば葬式や遺産相続やその他もろもろ
今さらさらーっと書き出してみるだけでこんなにもライフイベントがあり、そのタイミングごとにお金について考えたり悩んだり…。
子供の頃ってそんなことに気づかなかったのか、はたまた親が見せないようにしてくれてたのか。親になってみて「普通に生きて生活するだけでこんなにもお金って必要なんや…」と考えたものです。
その都度周りを見渡してみると他の人との「差」を感じることに。
同じように働いていてもお金に余裕がある人もいれば、ギャンブルにハマって借金を作る人。親に高級車を買ってもらい我が物顔で乗り回す人。
同じ人間でもこんなにもお金との付き合いかたが違います。海外ほど格差がないと言っても日本でも日常的に感じること、多いですよね…。
本書ではそんな人間の内側の部分というか、世代によって変わるお金にまつわる悩みやその原因などがリアルに描写されています。
「わかるわー…こういう時すごく惨めになった記憶ある…」
みたいな内容が個性的な登場人物とともに繰り広げられます。その中でお金と向き合う人々の考えや向き合いかたがとても勉強になります。
むしろこの本は、お金で悩んだことのある人にとっては「素晴らしい理解者」のような存在。共感できる内容と、作中の女性たちが各々ピンチを乗り越えるために、向き合い頑張る姿に惹かれます。
逆に、
- ストーリーとかどうでもいいから真新しい節約方法が知りたい
- こんなことでお金に困った経験とかないんだけど
- 世の中そんなうまいこといくわけないじゃん
って人にはオススメはしません。
精神論を語るつもりはありませんが、困窮している状況こそ精神的な支えが欲しくなるもの。目先のテクニックや解決策よりも、ピンチの自分を支えてくれる人や、1人ではないんだという安心感こそ必要なのかもしれません。
「お金がなくて辛いの、自分だけやないんや…グスン」
そんなちょっと涙しちゃう心理描写がこの作品の1番の見どころです。
お金の使い方は学校じゃ教えてくれない
勉強は義務教育でもその先でも学校に行けばある程度は学ぶことができます。でも金融やお金のことってほとんど学ばないんですよね。お金のことって誰も教えてくれない。
そのまま社会に出て、なんとなく生きてると壁にぶつかって挫折を感じることもあると思います。ツラー
そんな時の解決策って実はなくて、そこで悩んだり落ち込んだりしても大丈夫!って思えるものがあるかどうかが重要な気がする。解決策があったら悩まないですしね。
そんな時はこういう本を一冊持っておいて、読み返してみるのがいいんじゃないでしょうか。

今回は図書館で借りましたが、いつかこの本は買って持っていたい一冊です!